●▲■ きた産業 メルマガ・ニューズ vol.318 ●▲■

発行日:2025年2月13日(木)
■ アルコール飲料産業のためのクロスオーバー情報 ■

発行:きた産業株式会社 https://kitasangyo.com



------------------< 目 次 >------------------

●▲■ 日本酒の輸出、直近の状況
● 輸出量ランキング:兵庫、京都、山口、新潟、奈良、岐阜、、、(日経新聞より)
● 2024年の輸出実績:中国・アメリカ・香港の状況など
● 日本酒グローバル化の潜在リスク:「国別価格差」と「内外価格差」
●(日本酒輸出+ウイスキー輸出)の額<(日本が輸入するスパークリングワイン)の額

text = 喜多常夫


ご紹介商品●1▲ パッケージ・デザイン・アーカイブ 「周年記念のお酒」
ご紹介情報●2▲ サケびん口キャップ「AZK」がバイオ樹脂25%に
ご紹介情報●3▲ ウイスキー蒸溜所に「樽型量り売り充填機」


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先週の土曜(2月8日)の日経新聞で、
全国版に「日本酒、世界を酔わす」という記事が載って、
同時に全国すべての地方版で、地元酒蔵の輸出の取り組みの紹介があった。

「国税庁のアンケートの引用」
「全ての酒蔵をカバーしているわけではない」
と断ったうえで、以下の数字が紹介されていた。
(各地方版掲載の数字をとりまとめたもの)

<2023年の県別輸出数量>
1位 兵庫 6,316 KL (=3.51万石)
2位 京都 3,084 KL (=1.71万石)
3位 山口 2,553 KL (=1.42万石)
4位 新潟 918 KL (=0.51万石)
5位 奈良 516 KL (=0.29万石)
6位 岐阜 392 KL (=0.22万石)
7位 静岡 337 KL (=0.19万石)
8位 秋田 322 KL (=0.18万石)
9位 山形 318 KL (=0.18万石)
10位 栃木 261 KL (=0.15万石)


43位 東京 19 KL (=0.01万石)
44位 長崎 18 KL (=0.01万石)
45位 熊本 2 KL (=0.00万石)
46位 宮崎 1 KL (=0.00万石)
47位 沖縄 ‐ ‐ KL

カッコ書きの「万石」は、未だ「KL」になじめない私が追記したもの。
10位までの石数を合計すると、8.36万石。
11位以下47位までで2万石弱なので、合計10万石強。

一方、財務省貿易統計によると2023年の清酒輸出実績は16.2万石。
また、業界誌(酒類食品統計月報、24年5月号、25年1月号)によると、
灘・伏見(=兵庫・京都)大手9社だけで6.16万石を輸出、
新潟も1.68万石を輸出している。

したがって、日経記事の出典の「国税庁のアンケート」は、「補足率」は高くないようだが、
「県別の傾向」は示されていると思う。

記事では、山口が3位である背景として、獺祭・旭酒造の決算が、
「23年9月期の輸出額は68億円」(全国版)
「24年9月期の輸出額は87億円、売上の45%」(地方版)
であることを引用していた。

日本の清酒輸出金額は、2023年411億円、2024年435億円なので、
輸出における獺祭の金額シェアは17~20%程度に相当する。
(財務省貿易統計は酒税なし・FOB価格なので、
決算金額との単純比較はできないが)

獺祭の2023年の輸出量は1.18万石(酒類食品統計月報、24年5月号)。
日本の清酒輸出量は、2023年16.2万石なので、
輸出における獺祭の数量シェアは7%程度となる。

数量シェアに比べて金額シェアが高いということは、
「高付加価値の日本酒」を輸出されていることを意味する。
日本酒の価値を世界に広げていくために、重要な戦略であると思う。


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2024年(1~12月)の貿易統計がすでに公表されたので
以下にダイジェストをまとめておきます。
過去4年の推移で傾向を示す。

<日本酒輸出全体>
■2021年 17.8万石 402億円
■2022年 19.9万石 475億円
■2023年 16.2万石 411億円
■2024年 17.3万石 435億円

24年の量は、前年23年より増加に転じたのはよいが、22年21年に及ばない。
24年の金額は、過去最高の22年には及ばないが、増加傾向。
100点満点で点数をつけるとしたら、70点くらいか。
本格的な回復基調になるのは26年以降ではないか。


<中国向け(輸出金額1位)>
■2021年 4.04万石 103億円
■2022年 4.10万石 142 億円
■2023年 3.22万石 125 億円
■2024年 2.96万石 117億円

「2023年8月の福島原発の処理水放出」で、減少傾向が継続。
ただ、「韓国における2019年7月の日本製品不買運動」のインパクトに比べると、
影響は軽微というべき。


<アメリカ向け(輸出金額2位)>
■2021年 4.90万石 96億円
■2022年 5.05万石 109 億円
■2023年 3.61万石 91 億円
■2024年 4.45万石 114億円

2023年の減少から、24年は回復基調。
数量では1位を維持しているが、金額では中国に次ぐ2位のまま。
だが、(中国の回復は時間がかかると思うので、
トランプさんが関税をかけるなどのアメリカ事情がなければ、)
2025年はアメリカが金額1位も奪還するのではないか。


<香港向け(輸出金額3位)>
■2021年 1.80万石 93億円
■2022年 1.51万石 71 億円
■2023年 1.29万石 60 億円
■2024年 1.12万石 51億円

2020年には金額1位だった香港だが、
残念ながら、量も金額も4年続けて減少の一途。
香港の清酒需要は減退してしまったのだろうか。。



以上3か国で、全輸出額の65%、全輸出量の49%を占める。

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平均単価も見ておこう。
以下、2024年の「1.8Lあたり」の価格、

カッコ内の矢印は、2023年に比べて上がったか下がったか、を示す。


<主要3国>
●中国:3,948円(↑)
●アメリカ:2,574円(↑)
●香港:4,570円(↓)

<主要3国に次ぐ、3か国>
●韓国:1,379円(↑)
●台湾:1,663円(↑)
●シンガポール:3,806円(↓)

<EU主要国>
●英国:2,714円(↑)
●フランス:2,277円(↓)
●ドイツ:1,121円(↑)

香港の4,570円からドイツの1,121円まで、
仕向け国によって平均単価の差が大きすぎるのは、
日本酒グローバル化の上で、「潜在リスク」であると思う。


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参考までに、日本の小売り物価統計を見ておく。
物価統計指定品は、現在は「清酒2L紙パック」となっていて
2024年は1月1,049円~12月1,037円のレンジで推移。
1.8L換算で944円~933円となる。(酒税込み)
酒税抜きだと764~753円。(酒税を100円/Lと仮定)

一方、2024年の平均輸出単価は2,520円 / 1.8Lである。
国内市場の半分を占める経済酒の価格と、輸出価格の価格差は、
日本酒グローバル化にとって、「さらに大きな潜在リスク」である。



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「日本酒輸出」、「日本のウイスキー輸出」は、
政府も後押しするし、今後の日本の酒類産業の「要」であるが、
その規模は(まだ)大きくない、ということを示す切り口を紹介する。

以下の数字は、2024年の輸出入実績から。

●日本酒輸出:435億円
●日本のウイスキーの輸出:437億円
(合計:872億円)

■日本のスパークリングワインの輸入:977億円

すなわち、
(日本酒輸出+ウイスキー輸出)の額<(日本が輸入するスパークリングワイン)の額

「日本酒輸出」と「ウイスキー輸出」は全世界を相手に奮闘しているが、
金額で見た場合、
日本1国の消費する「スパークリングワイン輸入」にも及ばない。

日本の人口1.3億人のうち、
スパークリングワインを飲む人は数百万人(数十万人?)だと思うし、
今の日本の経済状況は必ずしも良くないと思うが、
その小さな市場・好調ではない市場にして、
こんなにスパークリングワインを飲むのである。

2024年に日本が輸入したスパークリングワインの平均輸入単価は
■1,844円 / 750 mlびん
フランスからの輸入に限っては、
■4,016円 / 750 mlびん
と、シャンパンを中心とする、とても高価な商品を輸入している。


一方、2024年の日本酒の平均輸出単価は
●1,008円 / 720mlびん
(=2,520円 / 1.8Lびん)

2024年の日本のウイスキーの平均輸出単価は
●2,709円 / 700mlびん

(注:貿易統計は、輸出はFOB価格、輸入はCIF価格なので
直接比較はできない)


日本の輸入するスパークリングワインの過半(金額ベース)は、
フランスのシャンパーニュである。

シャンパーニュは、どの国でもプレミアム商品で、
仕向け地国によって高い安いといった価格差は極めてすくない。

日本酒全体としてシャンパーニュのようなマーケティングに近づけていくことが、
日本酒の世界戦略の選択肢の一つだと思う。



text = 喜多常夫


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さて、当社情報のご紹介です。

●▲■ ご紹介情報 その1  :K2 ディヴィジョン ●▲■
パッケージ・デザイン・アーカイブ 「周年記念のお酒」
https://kitasangyo.com/pdf/archive/package-designs/PDA_anniv.pdf

お取引先の、周年記念のお酒を20種以上掲載しています。
創業記念・周年記念のパッケージは、きた産業にお任せください。

そのほか、最近のパッケージ・デザイン・アーカイブの収載としては、
「清酒用アルミ缶」
https://kitasangyo.com/pdf/archive/package-designs/sakecan_202412.pdf
「ポケット200」

https://kitasangyo.com/pdf/archive/package-designs/pocket200_archive202412.pdf
などがあります。



●▲■ ご紹介情報 その2  :KK ディヴィジョン ●▲■
サケびん口キャップ「AZK」がバイオ樹脂25%に
https://kitasangyo.com/pdf/package/closures/AZK-BIO.pdf

AZKの外栓は、従来は「バイオ樹脂10%」でしたが、
2024年5月から「バイオ樹脂25%」となりました。
バイオマスマークの認定も取得しています。



●▲■ ご紹介情報 その3 :ROOTSディヴィジョン ●▲■
ウイスキー蒸溜所に「樽型量り売り充填機」
https://kitasangyo.com/pdf/machine/byo-filler.pdf

スコッチウイスキーやバーボンウイスキーを訪問された方は、
「樽からの量り売り」を見られた方もいると思います。
蒸溜所直売のウイスキー・ジンの量り売り・びん詰め体験に。





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