●▲■ きた産業 メルマガ・ニューズ vol.256 ●▲■
     発行日:2019年12月16日(月)
  ■ アルコール飲料産業のためのクロスオーバー情報 ■

発行:きた産業株式会社 http://www.kitasangyo.com



------------------< 目 次 >------------------

●▲■ イタリアにて、清酒ではないSAKE「NERO」を飲む
●▲■ 「麹」は使わず、(麦芽ならぬ)「米芽」で糖化
●▲■ 「SAKE」という言葉の世界的認知度

                        text = 喜多常夫

ご紹介情報:お酒のキャップ「ZKシリーズ」
 ●1▲ 「jZK」→ グローバル・スタンダードのTトップ栓
 ●2▲ 「AZK」→ ユニークなデザイン+安全な開封+伝統の中栓
 ●3▲ 「MZK」→ 大きなTトップのユニバーサルデザイン




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   「イタリア初のSAKE(サケ)誕生」
   「商品名はNERO(ネロ=黒の意)」

というのを、風の便りで聞いていた。
https://www.sakeitaliano.it/ 

商品化したのはピエモンテ(ミラノの隣の州)にあるお米の会社で、
今年5月くらいからイタリア国内で販売しているようだ。

ミラノ万博の時など、イタリアでは過去に、
試験的に清酒造りに取り組んだ人がいるとは聞いているが、
商品として売られるサケは、初めてだろう。

奇数年の11月は、ミラノで、
ワイン機器・資材の世界的展示会「SIMEI(シメイ)」がある。
この展示会には当社の取引先企業多数が出展しているので、行くのが恒例。
ということで、先月イタリアにいったのだが、
足を延ばして、「NERO」を商品化したお米の会社を尋ねてみた。


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ミラノから車で1時間半ほど。
ミラノとトリノの中ほどで、ピエモンテ州Vercelliという場所。

ピエモンテは、
ワイン銘醸地(バローロ、バルバレスコ他)として有名だが、
実は、米(コメ)の主産地でもある。
「小麦のパスタ」と並んで、
「米のリゾット」はイタリアの国民食である。

現地に行ってみると、見渡す限り田んぼ。
収穫が終わった後なので水は引いているが、
日本と同じような水田栽培だそう。
(イタリアの11月後半は異常気象で、全土で2週間連日の大雨。
 その影響で、水びたしになっている田んぼもあったが。
 日本では台風19号の豪雨災害があったが、
 イタリアも大雨で高速道路崩落、河川氾濫など大変だった。
 ベニスも、半世紀ぶりの異常な高潮位で街の大部分が水没。)


広大な田園地帯の中に、ポツンと一軒、社屋がある。
会社名はGli Aironi(リ・アイローニ、と発音)。

「Gli Aironi」は英語で言うと「The Herons」。
鳥の「サギ」のこと。
会社のロゴマークにもサギがデザインされている。
日本でも水田にサギがよくいるが、イタリアでも同じなのだろう。
農薬を減らし、サステイナブルな水田にしたので、
いなくなっていたサギが戻ってきた、その象徴だそう。
実際、訪問時も、田んぼにはサギを見うけた。


サケ製造工場見学を希望したけれど、
今は生産していないとのことで、事務所で面談。
「NERO」を商品化した、ガブリエル・コンテさん本人に話を聞いた。




●▲■ まずは、イタリア初のサケ「NERO」の試飲、、、●▲■ 

 写真で黒いびんであることはわかっていたが、
 びんが黒いのだと思っていた。
 実は、びんは透明で、中身(お酒)が黒い!!、、、驚いた。
 名前(NERO=黒)通りである。

 「ベルモット製法にインスピレーションを得て」
 などとネットに書いてあって、どういうことかと思っていたのだが、
 味は、、、まさしくベルモット、、、または養命酒か保命酒。
 少なくとも日本酒とは全く違う。

 ベルモットは食前酒やカクテルベースのお酒で、
 「チンザノ」や「マルティーニ」が世界ブランドだが、
 これもピエモンテの産である。

 サケ「NERO」は、500mlびん、Tトップ栓。
 アルコール17%。
 小売価格は28EUR(約3,500円)也。

 びん正面には、白文字で、
 「NERO SAKE ITALIANO」(イタリアのサケ ネロ)とある。
 びん両側面には黒で「実った稲穂」のプリントがあるがほとんど見えない。
 飲んで中身が減ると稲穂が見え始めるという、シャレたデザインである。

 「びんやパッケージデザインには相当お金をかけた。
  初回ロットは1万本」、とのことだった。




●▲■ 製法を尋ねると、、、●▲■ 

    1.原料は黒いお米
    2.まず、米の糖化液を作る
    3.それをビール醸造所で酵母を使ってアルコール醗酵
    4.次にスピリッツ蒸留所に移してアルコールを添加
    5.ベルモットに使う系統の薬草を漬け込む
    6.びん詰め

 「(黒い長粒米を見せながら)原料はこの米。
  100%地元産。黒いコメなのでNERO。」
  、、、心白など無縁な、極端に細長い米である。
  ジャポニカ米に近い、白い中・短粒米も栽培しているのに、
  あえて黒い長粒米をつかう。完全な逆張り。

 「製造期間は全部で40日ほど。
  委託製造で、醸造所と蒸留所の2か所。
  トリノの酒類コンサルやバーテンダーと協力して味を決めた。」
  、、、との説明だった。
  ラベルを見ると、製造や壜詰め場所として別の住所が記載される。




●▲■ 「糖化は麹(こうじ)?」と尋ねると、、、●▲■ 

 「麹は使わない、米を発芽させて糖化する」
  と、驚きの回答。

 坂口謹一郎さん曰く
    「東洋はカビの酒、西洋は麦芽の酒」
 清酒・焼酎は「麹」で糖化、
 ビールは「麦芽(モルト)」で糖化、である。

 ところが、「サケNERO」は、
 「米芽」で糖化というわけだ。
 以前、「麦芽に比べ米芽は糖化力が弱い」
 というのを何かの本で読んだことがあるが、
 発芽・胚芽には必ず酵素があるので、糖化はできる。

 実際のお米の糖化液を見せてもらったが、
 薄めの「水あめ」のよう、甘い、ほぼ透明な液だった。


 帰国後、買って帰った商品のラベルを改めて眺めてみると、
 原材料欄には「Black rice(30%)、Syrup of rice」とある。
 もちろん黒米の米芽も使うけれど、
 米のシロップのほうが主なのだろう。
 ただ、Wikipediaで「水あめ」を調べて見ると、
 「古くは玄米を発芽させ、玄米中の糖化酵素を利用して製造」
 とある。
 Syrup of riceのほうも「米芽」なのかもしれない。




●▲■ 「なぜ、これがSAKEなの?」と尋ねると、、、●▲■ 

 「日本の伝統的サケを造ろうと思ったのではない。
  100%イタリアンであるためにも、
  イミテーションでないためにも、麹は使わない。
  あえて日本酒とは全く違う品質。」

 「ただ、米100%で造ったお酒なのでSAKE。
  しかも『イタリア初のSAKE』と銘打った。
  SAKEにインスパイアされ、
  トリノのベルモットの技術と融合させた。」

 「日本語の酒(さけ)は、清酒を指す場合もあるが、
  ワインやビールも酒とであると承知している。
  SAKEと表記していいか、
  日本大使館を含む各方面に確認し、問題ないとのことだった。」

 「当社は、創業から5世代目の古い会社。
  『米作』は、中国から伝わって以降何世紀も歴史ある地元産業。
  『ベルモット』は、もちろんこの地域の伝統産業だし、実は
  『ビール』も、ピエモンテの伝統産業。
  NEROは、地元産業と歴史を融合させた商品。」
 (注:Wikipediaによればピエモンテには紀元前のビール遺跡がある)

 「従来にない酒類なので、どう表記するか当局と協議したが
  結局、Bevanda Fermentata a base di Riso
  (英訳するとRice-based Fermented Beverage)
  となった。」


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以上の内容は、
この写真資料にまとめてあるのでご覧ください。

  ●▲■ アーカイブ資料
「清酒ではないSAKE、イタリアのNERO」(全4ページ)
http://www.kitasangyo.com/pdf/archive/sake-watching/sake-nero.pdf



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レモンスライスを入れたNEROもおいしかった。
カクテルベースとしても完成度が高いように思った。

Gli Aironi(リ・アイローニ)社の周りの水田は広大。
相当量のお米を扱っているようで、会社規模もそれなりに大きいよう。
日本のサタケの精米機も保有しているそうだ。

扱う米の種類は、色で言うと白米、赤米、黒米の3種。
どれも、主用途はリゾットだそう。

ここのリゾット米は人気のようで、
イタリアの有名食材店「イータリー」※の各店にも、
必ずGli Aironiのリゾット米が売られている。
そして、
「来月(12月)からNEROもイータリーに並ぶ予定」
と言っていた。

※「イータリー」
  地元の人はもちろん、多くの旅行者が立ち寄る、人気食材店。
  スローフードやイタリア食材を扱っていて、大型店が多い。
  店舗はイタリア主要都市にあるほか、東京にもある。
  イータリーで売られる商品は、インパクトは大きいと思う。


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「SAKE」という言葉は世界的に認知されてきた。

30年前は英文中にsakeという言葉があっても、先ずは
セイク(目的、のため、という英語)と思ったが、今や
サケ(日本酒)の場合の方が多いのではないか。


日本に「パイナップルワイン」や「ドクダミワイン」があっても、
イタリア人やフランス人は気にしない(と思う)が、
「グラッパ」や「シャンパーニュ」は使ってもらったら困る、
という事になっている。
「サケ」は、どちらの範疇とすべきか。


アメリカでは「紅花サケ」や「きゅうりサケ」が売られるが、
まあ、サケをベースにしたものであるし、
サケが国際化する中ではそういう商品もあるだろう。

しかし、
日本酒と全く違う品質のものがSAKEと名乗るのには、
抵抗がある日本人もいるかもしれない。

ただ、、、、
ブラジルや中国で作られている
    「清酒に似せた合成清酒のようなもの」
    「麹を使わないSAKE」
また、
清酒関係者が現状の大きな問題として指摘する、
    「合成清酒という名称(存在自体?)」
    「日本からの合成清酒の海外輸出」
等との比較論で考えると、

    「SAKEだが、清酒とは違う」
とはっきり言いきっているNEROは潔いように思った。


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なお、この会社とは別に、現在イタリア・ミラノでは、
本来の意味での清酒の製造にチャレンジしている人もいるようで、
直近のフェースブックで見ると、
「モロミまでできました」、など写真で紹介している。

中・短粒米は、ヨーロッパでは古くから、
イタリア、フランス、スペイン、ギリシャなどに栽培地がある。
スペイン、フランスでは、
すでにサケ醸造所ができているが、早晩、
イタリアやギリシャにも、
麹菌と地元米を使った、サケ(清酒)醸造所ができるだろう。


                     text = 喜多常夫




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さて、商品紹介です。
今回は、お酒のキャップ「ZKファミリー」3種のご紹介。


●▲■ ご紹介商品 その1 KKディビジョン ●▲■
「 jZK 」グローバル・スタンダードのTトップ栓
 http://www.kitasangyo.com/pdf/package/closures/JZK.pdf


●▲■ ご紹介商品 その2 KKディビジョン ●▲■
「 AZK 」ユニークなデザイン+安全な開封+伝統の中栓
 http://www.kitasangyo.com/pdf/package/closures/AZK.pdf


●▲■ ご紹介商品 その3 KKディビジョン ●▲■
「 MZK 」大きなTトップで開けやすい、ユニバーサルデザイン
 http://www.kitasangyo.com/pdf/package/closures/MZK.pdf



jZK、AZK、MZKの「ZKファミリー」3種は、
お酒のキャップとしてますます採用が広がっています。

サケ・ショーチューの伝統を守りながらも、
日本市場と世界市場での付加価値を高めるキャップです。





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