●▲■ きた産業 メルマガ・ニューズ vol.301 ●▲■

発行日:2023年4月11日(火)
■ アルコール飲料産業のためのクロスオーバー情報 ■

発行:きた産業株式会社 https://kitasangyo.com



------------------< 目 次 >------------------

●▲■ 「酒類製造免許の数」で見る、日本の酒類産業(その2)

●半世紀以上減少していた酒類製造者が2015年以降増加局面に
●増加の6要素→ウイスキー、スピリッツ、果実酒、リキュール、ビール、発泡酒
●学校の試験酒造免許の取得も急増→将来の参入者も増える

text = 喜多常夫


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サケびん口キャップ:人気の3つの選択肢、「AZK」「MZK」「jZK」
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前回は、コロナ以降、酒類製造免許を新しく取得する者が急増している事を書いた。

●コロナ前の3年間(2017-2019年)で488、平均163/年
だったのが、
●コロナ後の3年間(2020-2022年)は833、平均278/年
と、1.7倍に増えた。
(試験免許、免許移転、法人なり等を除いた「新規の酒類製造免許」の数)



新規免許は、既存の酒造業者による取得も多いが、
(例えば、焼酎蔵元がウイスキー免許を取る、清酒蔵元がリキュール免許を取る、など)
酒造業界外からの参入者
がとても多い

「コロナ後の平均278/年」
の内訳は、
  毎年、酒類業界以外から、控えめに言っても数十社、
たぶん百社規模の新規参入者がある
状態だと思う。

戦後長らく、酒類製造は人気のビジネスとは言えなかったと思う。

その酒類製造に人気がでるとは
お酒の総需要は今後も減少が続くのに、である。
長らく業界に身を置くものとしては、「
パラダイムシフトであると感じる。 



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以下、数字が多い文章で恐縮だが、
酒類業界の変換点を
免許の数から検証してみる。


国税庁が毎年公表する税務統計の「酒税総括表」に記載された
「酒類製造場数」(すべての酒類の製造場の合計)の数字を見ると、
20世紀の後半(戦後)は、多少の波はあるが一貫して「減少傾向」だった。
21世紀に入っても、
2001年度の3,254に始まって、2014年度の3,096まで減り続けていた。
すなわち、優に半世紀
以上は「減少傾向」が続いていた。

ところが、2015年から増加に転じ、
2021年度(=2022年3月末)では3,715にまで増えた。

(注:公表
されている税務統計で最も新しい、
令和3年度(2022年3月まで)の「酒税総括表」による製造場数、3,715とは、
「複数の品目を製造する場合、製造数量が最も多い品目の酒類を1場として計上」という数え方。
先月3月に公表された「酒類製造業者等及び酒類卸業者の概況・令和4年アンケート」によれば、
「製造場数」は3,715(=令和3年度の酒税総括表と同じ数字)
「製造品目ごとに1場として計上」すれば12,295
「酒類製造の事業者数」は3,218
「上記の内、試験免許、祭祀用免許、休造中、売上無しを除く」と2,253
と記述されている。なかなか理解がむつかしい。)


「酒類製造場の総数」は2015年から
増加に転じたと言ったが、
製造場数の中で最大数である「清酒」は
、残念ながらもちろん減り続けている。
ところが、「清酒」も含めた「すべての酒類」では増加に転じたのである。

「清酒」の21世紀以降の製造場数
2001年2,121→2014年1,634、13年で▲487(減)
2014年1,634→2021年1,544、7年で▲90(減)
21世紀の20年累計では▲577(減)

「すべての酒類」の21世紀以降の製造場数
2001年3,254→2014年3,096、13年で▲158(減)
2014年3,096→2021年3,715、7年で+619(増)
21世紀の20年累計では+461(増)

すべての酒類の
製造場数が増えた主な理由は、
次の6つの酒類の増え方が、清酒の減り方を凌駕したから。

「ウイスキー」
「スピリッツ」
「果実酒」
「リキュール」
「ビール」
「発泡酒」

6つの酒類の生産者数は2014年以前から増加傾向だったが、
2015年ころから増勢が強まり、
特にコロナの2020年以降
、「増勢倍増」といえる状況になっている。


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6つの酒類の免許について、
前回と同じく、公開されている国税庁の新規免許取得者の表を
エクセルにコピーして、暦年でソートして新規免許の数を数えてみた。
(以下の数字は、試験免許や免許移転などを除
いた新規の製造免許の数)


▲■新規の「ウイスキー製造免許」の取得者数

2017年=6
2018年=6
2019年=8
2020年=17
2021年=23
2022年=24

■コロナ前(2017-2019)3年で20、平均=7/年
■コロナ後(2020-2022)3年で64、平均=21/年(3倍 !)

2017-2022の6年間の新規ウイスキー免許84のうち、取得者が多い県は、
1位・新潟、長野、鹿児島の3県:各7
2位・兵庫、沖縄の2県:各6
3位・茨城、静岡、熊本の3県:各5
新潟・長野・鹿児島の3県では、既存の生産者とあわせると、
近い将来、各県とも10か所程ものウイスキー
蒸溜所ができることになる。

なお、免許を持っていなくても、自社ブランドをもつ会社があることは注意すべき。
先月、東京ビッグサイトでFOODEX(国際食品・飲料展示会)に出展していたが、
当社ブースのすぐ近くだけで4つのジャパニーズウイスキーブランドが出展されていた。
うち2つはウイスキー免許も蒸溜所も持つブランドだったが、
残り2つ(「富士山」-ミレックス社、「海知・翼知」-シーウィング社)は、
委託製造のジャパニーズウイスキーブランドであった。



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▲■新規の「スピリッツ製造免許」の取得者数

2017年=5
2018年=13
2019年=21
2020年=51
2021年=30
2022年=26

■コロナ前(2017-2019)3年で49、平均=16/年
■コロナ後(2020-2022)3年で107、平均=36/年(2.3倍 !)

スピリッツ免許の多くは、ジンへの新規参入である。
2017-2022の6年間の新規スピリッツ免許156のうち、取得者が多い県は、
1位・沖縄:13
2位・鹿児島:12
3位・東京と静岡:各
9
沖縄や鹿児島では、すでに蒸溜設備を持つ泡盛・焼酎生産者の参入が多いが、
東京や静岡では、新たに
蒸溜設備を導入する参入者もある



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▲■新規の「果実酒製造免許」の取得者数

2017年=30
2018年=31
2019年=33
2020年=41
2021年=44
2022年=41

■コロナ前(2017-2019)3年で94、平均=31/年
■コロナ後(2020-2022)3年で126、平均=42/年(1.4倍)


果実酒免許
シードル製造目的などもあるが、多くはブドウのワインである。
2017-2022の6年間の新規果実酒免許220のうち、取得者が多い県は、
1位・長野:43
2位・北海道:24
3位・山梨:22
長野と北海道のワイナリー増加ぶりはよく話題になるが、長野の43は圧倒的。
長野はワイン教育プログラムや支援体制の充実が
数字に表れている。
山梨はワイン生産者が最も多い県だが、長らく数は増えてこなかった。
ところが、近年、山梨で新しく開業する方
増えている。
なお、東京でも9社が新規に果実酒免許を取得していることは注目すべき。



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  ▲■新規の「リキュール製造免許」の取得者数

2017年=8
2018年=26
2019年=26
2020年=41
2021年=34
2022年=30

■コロナ前(2017-2019)3年で60、平均=20/年
■コロナ後(2020-2022)3年で105、平均=35/年(1.8倍)

焼酎、ワイン、ビール、清酒など様々な既存の酒造企業が取得しているほか
新規の
リキュール酒造所もある。
2017-2022の6年間の新規リキュール免許165のうち、取得者が多い県は、
1位・鹿児島:12
2位・長野:10
3位・茨城、静岡、和歌山の3県:各8
コカ・コーラ、ロッテ、サンガリアなど、大手の非酒類企業の取得も見られる。



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  ▲■新規の「ビール製造免許」+「発泡酒製造免許」の取得者数

2017年=ビ3+発49
=52
     2018年=ビ9+発94=103
     2019年=ビ12+発40=52
     2020年=ビ13+発59=72
     2021年=ビ13+発82=95
     2022年=ビ16+発124=140

      ■コロナ前(2017-2019)3年でビ24+発183=207、平均=69/年
■コロナ後(2020-2022)3年でビ42+発265=307、平均=102/年(1.5倍)

必ずしも「発泡酒免許クラフトビールではないが、多くはクラフトビールである。
2017-2022の6年間の新規ビール免許+発泡酒免許514のうち、取得者が多い県は、
1位・東京:73
2位・神奈川:28
3位・長野:26
東京における新規クラフトビールの開業数は圧倒的。
東京・神奈川=首都圏への集積度合は、ますます高くなる。



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以上は、「商業生産をするための製造免許」の数の分析だったが、
「試験免許」の新規取得も増えてい
ること、
なかでも学校法人の試験免許が増えているの近年の特徴である。

教育カリキュラムに「お酒の製造」を組み込む
目的で
試験免許を取得するケースがほとんど
と考えられる。

例示として2つのジャンルについて具体的学校名を拾ってみた。

 ●2017-2022の6年間の果実酒の試験取得者のうち、
  名前から学校と判断できるものは以下の16
  旭川高専、八戸高専、宮城農大、
  山梨県立農林高校、山梨大、鈴鹿高専、
  龍谷大学、京都工芸繊維大、京大、
  関西福祉大、大阪府立大、アナン学園、
  順正学園、岡山理科大、呉工業高専、
  沖縄中部農林高校


 ●2017-2022の6年間のビールの試験取得者のうち、
  名前から学校と判断できるものは以下の9
   旭川高専、弘前大学、八戸高専、
   東北大学、龍谷大学、京都学園大、
   岡山大、南九州学園、沖縄中部農林高校


北海道から沖縄まである。
大学や高専ばかりでなく、高校の取得ある。
若いうちに酒類製造を学ぶ・体験する人が増えれば、
将来酒造業に従事する者も増えるだろう。
酒類製造人気のパラダイムシフトはさらに進行する
のだと思う。 


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近年の「酒類免許取得増」には、
  補助金政策の拡充、クラウドファンディングによる資金調達、
  世界的なクラフトムーブメント
世界的な蒸留酒ブーム、
  世界的なジャパニーズウイスキー・ジンの評価の高まりや日本食ブーム、
日本ワインの品質の向上、
などなど、様々な要素があるが、
「コロナパンデミック」も大きく影響していると思う。

「コロナパンデミック」と「酒類免許取得」の
関係は、
普通に考えれば
負の相関(コロナが流行れば酒類参入が減る)がイメージしやすいが、
実績は明確な
正の相関(コロナ流行後に酒類参入が増加)となっている。


   
(酒造免許の話題は、さらに次回に続く予定)

text = 喜多常夫



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さて、商品のご紹介です。


●▲■ ご紹介商品 その1 :KKディヴィジョン ●▲■
サケびん口キャップ:人気の3つの選択肢、「AZK」「MZK」「jZK」
https://kitasangyo.com/pdf/package/closures/AZK-BIO.pdf
https://kitasangyo.com/pdf/package/closures/MZK.pdf
 
https://kitasangyo.com/pdf/package/closures/JZK.pdf 

清酒の720mlびんの市場約1億本のうち、
2,000万本以上がすでにサケびん口、3種のキャップが人気です。
「AZK」・・・標準品を植物由来樹脂10%に切り替え中
「MZK」・・・とても開けやい
「jZK」・・・プレミアム感+びん燗殺菌対応





●▲■ ご紹介情報 その2 :K2ディヴィジョン  ●▲■

ガラス栓VINOLOK:「全般情報」「装飾オプション」「サケVL」
https://kitasangyo.com/pdf/package/closures/vinolok.pdf

https://kitasangyo.com/pdf/package/closures/vldeco.pdf

https://kitasangyo.com/pdf/package/closures/SVL+AZK.pdf

 

清酒焼酎、ワイン、ジン、ウイスキーなど、
日本でも幅広い分野でご採用者が増えています。
世界的な需要増に対応して、
チェコのVINOLOK社では、ガラス栓製造工場を、今年新しく竣工しました。




●▲■ ご紹介情報 その3 :KKディヴィジョン  ●▲■
BPANI(BPAの意図的添加のない)カップ酒のキャップ

https://kitasangyo.com/pdf/package/closures/BPA_free_WQWM.pdf
https://kitasangyo.com/pdf/package/closures/WP-BPANI.pdf

化学物質規制は世界的に厳格化してきており、
輸出については BPANI仕様の包材を使用することが望まれます。
また、日本市場に向けても、
より安心な包装材料でお酒を提供することは望ましい方向です。






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2002年5月の創刊以来のバックナンバーを収録しています。
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